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岡崎統合バイオサイエンスセンターとは

岡崎統合バイオサイエンスセンターは、2000年4月に分子科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所の共通施設として設立されました。大学共同利用機関法人発足後は、自然科学研究機構の共通施設となり今日に至っています。

 

本センターは、分子科学・基礎生物科学・生理科学などの学際領域にまたがる諸問題に対し、総合的な観点と方法論を適用、駆使し、新たなバイオサイエンスを切り開くことを目的として、3研究所に属する研究者が「研究所の枠を超えて」集う組織です。私たちは、生命現象の基本に関する諸問題を分子レベルから細胞、組織、個体レベルまで統合的に捉え、独創的な研究を展開しています。

 

研究組織改編について

【組織改編の内容】
「時系列生命現象研究領域」「戦略的方法論研究領域」「生命環境研究領域」の3研究領域を「バイオセンシング研究領域」「生命時空間設計研究領域」「生命動秩序形成研究領域」へと発展的に改組する。

【組織改編の背景と各研究領域の目的】
岡崎統合バイオサイエンスセンタ―は2000年に岡崎3研究所の共通施設として設立されて以来、新たなバイオサイエンス分野の開拓という趣旨のもと、質の高い研究を展開してきた。一方、この10年余りの間に、各種生物における全ゲノム配列の決定などの網羅的研究手法が大きく発展し、生物学の新たな発展の可能性が期待されている。すなわち、生命現象に関わる素子としての分子や細胞の同定を主としたこれまでの還元論的な方法論に加え、同定された分子や細胞群に関する情報を統合することにより、生命現象の本質の理解に新たに迫ることへの期待である。このことは同時に、生命という複雑な階層構造を持つ対象を各階層に分断し,それぞれを詳細に調べるという戦略に沿って進んできたこれまでの研究に対して、階層を超えたさまざまな視点からの統合的なアプローチによる研究方法の確立と展開が求められていることを意味する。
このような状況は、分子科学から基礎生物学、生理学までをカバーする幅広い分野の研究者が結集する岡崎統合バイオサイエンスセンタ―の存在意義をより高めるものであると同時に、このような学問的要請に本センタ―が答えるためには、生命現象を理解する上で本質的に重要ないくつかの問題について焦点を当て、それらに統合的な研究方法を組み入れるとともに、階層を超えた研究協力体制を確立することが望まれる。そこで、これまでの研究領域を発展的に改組し、新たに「バイオセンシング研究領域」「生命時空間設計研究領域」「生命動秩序形成研究領域」を設立する。
「バイオセンシング研究領域」では、分子から個体までのセンシング機構を駆使して生存している生物の生命システムのダイナミズムの解明に迫るために、環境情報の感知に関わるバイオセンシング機構研究を推進する。分子、細胞や個体が環境情報を感知する機構は様々であり、異なる細胞種や生物種におけるバイオセンシング機構の普遍性と相違性を明らかにするとともにセンスされた環境情報の統合機構も明らかにする。そのために、バイオセンサーの構造解析やモデリング解析、進化解析も含めた多層的なアプローチを実施する。
「生命時空間設計研究領域」では、生命現象の諸階層における時間と空間の規定と制御に関わる仕組みを統合的に理解することを目指す。短時間で起きる分子レベルの反応から生物の進化までの多様な時間スケールの中で起きる生命現象や、分子集合体から組織・個体に至る多様な空間スケールでの大きさや空間配置の規定や制御に関わる仕組みを研究する。そのために、分子遺伝学、オミックスによる網羅的解析、光学・電子顕微鏡技術を活用したイメージング、画像解析を含む定量的計測、などによる研究を展開し、さらに数理・情報生物学を駆使した統合的アプローチを実施する。
「生命動秩序形成研究領域」では、生命体を構成する多数の素子(個体を構成する細胞、あるいは細胞を構成する分子)がダイナミックな離合集散を通じて柔軟かつロバストな高次秩序系を創発する仕組みを理解することを目指す。そのために、生命システムの動秩序形成におけるミクロ-マクロ相関の探査を可能とする物理化学的計測手法の開発を推進するとともに、得られるデータをもとに多階層的な生命情報学・定量生物学・数理生物研究を展開し、さらに超分子科学・合成生物学を統合したアプローチを実施する。