岡崎統合バイオサイエンスセンターリポート2007

岡崎統合バイオサイエンスセンターリポート2007の刊行にあたって

本センターでは、例年3月に統合バイオサイエンスセンターシンポジウムを開催している。今まで通し番号がついていなかったので、今回は何回にあたるのか調べてもらったら6回目であった。しかし、センター長任期から考えると、3交代+1年目なので、今年は統合バイオ発足7年目となる。結構長い時間が経っているのだと改めて痛感した。立上げまでとその後の紆余曲折を知る者にとって、この巻頭言を書くことに深い感慨がある。この間にも様々な動きがあった。立上げ期のメンバーは私と井口先生2人となり、教授陣も過去5年間で9人の内4人が去り、3人が新任である。准教授、助教も同じようなペースで交代しており、学術センターとしてはかなり新陳代謝の早い組織ではなかろうか。

もともと統合バイオの設立理念は、3研究書のある種の融和にあり、必ずしも統合に向かう学問的必然性が背後にあったわけではない。20年近く岡崎の同一キャンパスに生息しながらかなり無縁な研究組織としてきたことへの反省が愛知教育大跡地利用という現実的課題とカップルして統合バイオ設立の力となった。統合バイオサイエンスセンターの前に岡崎の名を冠するようになったのは、初代のセンター長を引き受けた私の強い要望(岡崎市とのつながりと固有名詞によるブランド化への期待)によるものである。いつか岡崎と言ったらこのセンターを指すことを夢見たわけである。しかし、7年経ちその夢は前途多難なようだ。他の3研究所に比べ歴史も浅く組織的にも独立性が乏しいため、センター構成員の帰属意識がなかなか育たない。どうしても足場である個別の研究所に心が向かってしまう。もちろんそれは必ずしもマイナス面ばかりではないのだが、弱い帰属意識か構成員の比較的早い新陳代謝と関係しているとすれば考えさせられるものがある。

どのようにしたらセンターへの求心力を高められるか。阪大蛋白研との連携研究、建物内外の環境整備など色々な施策があるように思う。ただ、構成員一人一人の研究成果は今回のリポートに見られるように目覚しいものがあり将来は明るい。研究能力ある力強い個人に支えられた顔の見える統合バイオを形作っていきたい。

第4期センター長 永山 國昭