センター長挨拶

>>続き

「バイオセンシング研究領域」では、分子から個体までのセンシング機構を駆使して生存している生物の生命システムのダイナミズムの解明に迫るために、環境情報の感知に関わるバイオセンシング機構研究を推進する。分子、細胞や個体が環境情報を感知する機構は様々であり、異なる細胞種や生物種におけるバイオセンシング機構の普遍性と相違性を明らかにするとともにセンスされた環境情報の統合機構も明らかにする。そのために、バイオセンサーの構造解析やモデリング解析、進化解析も含めた多層的なアプローチを実施する。

「生命時空間設計研究領域」では、生命現象の諸階層における時間と空間の規定と制御に関わる仕組みを統合的に理解することを目指す。短時間で起きる分子レベルの反応から生物の進化までの多様な時間スケールの中で起きる生命現象や、分子集合体から組織・個体に至る多様な空間スケールでの大きさや空間配置の規定や制御に関わる仕組みを研究する。そのために、分子遺伝学、オミックスによる網羅的解析、光学・電子顕微鏡技術を活用したイメージング、画像解析を含む定量的計測、などによる研究を展開し、さらに数理・情報生物学を駆使した統合的アプローチを実施する。

 「生命動秩序形成研究領域」では、生命体を構成する多数の素子(個体を構成する細胞、あるいは細胞を構成する分子)がダイナミックな離合集散を通じて柔軟かつロバストな高次秩序系を創発する仕組みを理解することを目指す。そのために、生命システムの動秩序形成におけるミクロ-マクロ相関の探査を可能とする物理化学的計測手法の開発を推進するとともに、得られるデータをもとに多階層的な生命情報学・定量生物学・数理生物研究を展開し、さらに超分子科学・合成生物学を統合したアプローチを実施する。

 また、このオリオンプロジェクトでは岡崎3機関との連携を強め、3機関研究者がオリオンプロジェクトに参加するオリオン公募研究も開始し、順調に進行している。さらに、特任准教授を3人新たに採用して行うオリオン特別研究も、平成26年度前半には全て開始した。プロジェクト2年目の平成26年度は、統合バイオリトリートを開催し、研究の進行状況をチェックするとともに交互の情報交換を活発に行った。

 これらのオリオンプロジェクト3研究領域に加え、平成26年度より特別経費を利用してバイオネクストプロジェクトを開始した。特別経費として設備費は一切認められなかったが、平成25年度の補正予算でその設備費分が充当された。これを用いて平成26年度に超分子質量分析装置と高速ライブイメージングシステムを導入した。これらの機器の全国共同利用を進めるため、自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター「バイオネクスト共同利用研究」を新たに開始した。年度途中の募集開始にも拘わらず、平成26年度には6件の共同利用研究を採択し実施した。また、平成26年度には自助努力により「全反射顕微鏡システム」も導入し、共同利用実験に供するため、平成27年度は応募件数がさらに増加する見込みである。

 バイオネクスト特別共同利用研究においては、岡崎3機関以外の研究者にプロジェクトを提案してもらい、特任准教授と研究員が常駐する研究室を運営して頂くこととした。この特別共同利用研究に対して3件の応募があり、塚谷裕一教授(東京大学)提案の「メタボロミクスによる発生現象制御因子の解明」を採択した。すでに特任准教授の選考を終え、平成27年4月1日付けで着任予定である。

以上のように岡崎統合バイオサイエンスセンターでは、
オリオンプロジェクト(平成25年度〜平成30年度)と
バイオネクストプロジェクト(平成26年度〜平成30年度)
の2本の柱を今後も積極的に進めていく。

 



 統合バイオサイエンスセンター   
 センター長
池中 一裕
 IKENAKA,Kazuhiro


<<戻る