神経分化研究部門

ホーム > 生命時空間設計研究領域 > 神経行動学研究部門研究内容

研究内容

東島 眞一 (教授)

研究内容

1) ゼブラフィッシュを用いた脊髄運動系神経回路網の解析
異なった転写因子の発現の組み合わせにより、形態学的に異なったタイプの介在神経細胞が分化してくることが示唆されている。しかしながら、これらの介在神経細胞が、最終的に神経回路網の中で機能的にどのようなタイプの神経細胞へ分化していくかは、まだよく分かっていない。我々は、ゼブラフィッシュを用いてこの課題にアプローチしている。中枢神経系の特定の種類の神経細胞で、蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを作製し、それら神経細胞を生きたまま可視化することを方法論の中心に据えて研究を進めている。可視化することで、神経細胞の発生過程(軸索の伸長、樹状突起の成長、神経細胞の移動等)をダイレクトに追跡することができる。さらには、機能している神経回路中で、蛍光を発する特定のクラスの神経細胞をねらって電気生理学的な解析を行うことができる。このような解析を通じて、神経発生から神経機能解析までをつなげていきたいと考えている。

2)特定の神経細胞の活動を変化させることによる神経回路機能の解析
特定のクラスの神経細胞を可視化できるようになり、その神経回路中での役割が推測できるようになってくると、次の大きな課題は、その神経細胞の活動に人為的に変化を加えて、その結果(たとえば動物の行動パターン)を見ることである。それにより、推測された神経細胞の役割を、より確かな因果関係として提示することができるようになる。この課題に向けて、神経細胞に破傷風毒素を発現させた幼魚の行動を解析している。また、光により活性化されるチャネルを特定のクラスの神経細胞に発現させて、光による行動の誘発を目指した研究も進めている。

Select Reference

  1. "V2a and V2b neurons are generated by the final divisions of pair-producing progenitors in the zebrafish spinal cord." Development 135, 3001-3005 (2008)
  2. "alx, a zebrafish homolog of Chx10, marks ipsilateral descending excitatory interneurons that participate in the regulation of spinal locomotor circuits." J. Neuroscience 26, 5684-5697 (2006)
  3. "Engrailed-1 expression marks a primitive class of inhibitory spinal interneuron." J. Neuroscience 24, 5827-5839 (2004)